ポーカー 戦略、社会課題を解決! 新卒採用担当が非インターンシッププログラム「WOW! BASE」を創ったワケ
リクルートの人事担当が2019年に立ち上げた高校生・大学生向けプログラム「WOW! BASE(ワオベース)」では、2022年度に約360名の学生が参加し、リクルートの事業・サービスと協働してポーカー 戦略解決に挑戦している。数日~3週間程度のプログラム期間のなかで、事業化検討に至るアイデアが生まれたり、地域に入り込んで一緒に新たな活動を始める学生も現れているという。一体「WOW! BASE」とは何か? インターンシップなどの採用活動とはどう違うのか、なぜ違うのか。発起人であり、現在も本プログラムの企画運営のリーダーを務めるリクルート従業員の菱川貴仁に聞いた。
未来の当たり前をつくる若者にこそ、採用を超えて提供できる「機会」を探していた
ー採用インターンシップとは別物で、学生向けのプログラムをやっていると聞きました。
菱川:2019年から高校生・大学生を対象に「WOW! BASE」というプログラムをやっています。「人生とポーカー 戦略が出会う場所」というコンセプトで、学生さんが多種多様な人との出会いを通じてご自身の強みに気づいたり、実際の事業開発に活かしていただけるようなイベントを通年で用意しています。
ー面白そうですね。そもそもどういった経緯で始めたんですか?
菱川:私は2014年に人事に着任し、主に大学生向けに課題解決型インターンシップを企画してきましたが、そこで忘れられない経験が何度もあったんです。学生さんたちの熱量や提案をきっかけに、その提案先であるリクルートのお客様が一緒になってその事業化検討を始めたり、さらには将来のあり方について議論が生まれる瞬間を目の当たりにして。若い人たちのアイデアや情熱、エネルギーは、世の中を動かす力がある。これは純粋に凄いパワーだなと…。こうした学生さんたちならではの感性や熱量を、社会にもっと活かしてもらえる仕組みを創りたいと考えるようになったのが「WOW! BASE」構想のきっかけです。
ーインターンシップでの体験がきっかけだったんですね。
菱川:はい、インターンシップのなかで磨かれたプログラムを就活生だけに閉じているのは勿体ないという気持ちが芽生えてきたんです。私は「人事は、未来の当たり前をつくるためにいる」と考えていて。若い人たちが、採用活動の枠組みに制約されずとも参加できるものにし、社会の未来を創ることに貢献できないのかなと。
ー採用の枠組みに制約されずとも?
菱川:若い人たちが社会のリアルな課題に触れる機会を、リクルートのリソースを使って実現してみたかったんです。現代ってとにかく情報があふれていて、体験せずとも「知る」だけならできることが多いじゃないですか。その一方で、他者の心の痛みを感じるほどのリアリティで、世の中の情報や課題に触れる機会は多くない。何かの課題を解決する糸口って、そういったリアリティのなかにしかないと私は思うので、社会に出る前にまずは触れてみる機会を提供できないだろうかと…おこがましいんですけどね。私自身が、それを人事の仕事としてやりたいと思い、上司に直談判しました。
若者視点でポーカー 戦略を解決し、世の中に価値として還元する仕組みを創りたい
ー直談判?! 凄い行動力です。実際に2019年からプログラム提供を始めて、どんな価値が見えてきましたか?
菱川:いやぁ、想像以上でした。本気でやりたいと思えるテーマに出会った学生さんって、昨日まで他人事だった課題すらも、凄いパワーでどうにか解決しようと行動し始めるんです。リクルートの従業員は、今も昔も個人の内発的動機を大切にしながら日々業務を行っていますが、リクルート外にいる若い人たちともそのエッセンスについて共鳴することができて、非常に嬉しかったです。 参加者のなかには、プログラム終了後もアイデアを実行するため、それまでは所縁がなかった地域に足を運び続ける方まで現れました。
ープログラム終了後まで?!それはどんな状況だったんですか?
菱川:2022年3月、旅行領域の総研組織「じゃらんリサーチセンター」と、そのお客様である福島県双葉町による協働実施のプログラムでのことです。双葉町は、2011年の東日本大震災の原発事故によって避難指示が続いたことから、当時居住人口が0人となった地域でした。そこに所縁がない参加者に、若者の「関係人口」を持続的に増やすための3ヶ年計画を考えていただくという内容でした。
ー参加者は、所縁がない町をどうやって自分事にしていったのでしょうか?
菱川:当時コロナ禍だったので、参加者にはオンライン中継をつないで現場視察をしてもらいました。現地の方々に協力してもらって、誰もいない閑散とした地域の状況、至る場所に草木が生い茂って住宅が朽ちている様子など、生々しい映像を中継したんです。参加者は、被災地の現場を初めて見る方ばかりでしたが、震災復興という解のない課題に取り組んできた現地の皆さんの姿を見て、何かできることはないか、と考えたそうです。そこから現地の方々とアイデアを練って、行政に提案が通り、じゃあ誰が実行する?となった際に、自ら地域に入り込んで実現までやり遂げてしまったというエピソードです。
ーリクルートが学生のアイデアを吸い上げているとは思われないんでしょうか?
菱川:思われるかもしれませんね。だって実際に「WOW! BASE」を通じてたくさんの素晴らしいアイデアを見せていただいていますから。お伝えした通り、このプログラムの目的のひとつは、ポーカー 戦略に対するリアリティの提供です。私たちはリクルートの事業が本当に直面している課題をお題として集めてきます。事業そのものの課題もあれば、事業サービスをご利用くださっている企業や地域から寄せられる課題もあります。誰かが解決できなければ、さらに困る方が出てくる。本物の課題に対するアイデアを本気で考えてもらうプログラムですから、実際に採用され、参加学生と担当社員が協働し、世の中に価値として還元されていくものもあります。参加者もそのリアリティ、実社会に対する手触り感に期待してくださっているので、勝手に吸い上げて横取りするものにはなっていないはずです。
ー「WOW! BASE」に参加すると、学生さんはリアルなポーカー 戦略解決に挑戦でき、リクルートの事業やステークホルダーは若者視点を取り入れた新しい価値を社会に還元できる…なんだか三方良しですね。
2023年は500人の高校生・大学生に、自分の可能性に気づく機会を提供したい
ーお話を聞いていると「WOW! BASE」は相当な大志がないと参加が難しいように思います…
菱川:むしろその逆です。「大志なんて分からない。自分が挑戦したいと思えるテーマを見つけたい」と悩んでいる方も含め、全ての高校生・大学生の方に参加いただきたいです。その名の通り、自分が思わず「WOW!」と好奇心を持ってしまうことは何なのか、自分は何に強いのか。そんな自分の「ベース」となる部分に、多様な人との出会いを通して気づいていただくための場なので。2023年は協働する事業・サービスの数を増やしたので、約500名の受け入れが可能になりました。ぜひ多くの方にご応募いただきたいですね。
ー学生限定ならではのプログラムですね…!さて、今後「WOW! BASE」を続けていった先にどんな未来があるのでしょう?
菱川:「WOW! BASE」に参加し、自分の内発的動機に着火する方法を知った新社会人がひとりでも増えたらと思っています。そしてその力を、世の中のあまたある課題の解決において発揮してもらえたらとても嬉しいです。そんな力強い若い世代が増えれば、企業と学生の関係性すら「雇用する・される」という制度的なものから、「社会の課題をともに解決する協働者」に変わることもあり得るんじゃないかと個人的には妄想してまして…。一人ひとりが互いの可能性に期待し合う社会。私が人事としてつくりたい「未来の当たり前」はそんな世界です。
ー雇用の関係から協働者に。そんな時代になったとして、それでも敢えてリクルートへの就職を選んでいただくとしたら、それはどんな方でしょうか?
菱川:リクルートが向き合っている事業領域やテーマの課題を解決したいと思う方か、またはそのアセットを使って別の課題を解決したいと企んでいる方ですね。リクルートに就職しようとしまいと、なかに居ようが居まいが、ポーカー 戦略解決には取り組めるし、協働したいときはすればいいし、全ては「自分がどうしたいか」それに尽きると思いますね。
プロフィール/敬称略
※プロフィールは取材当時のものです
- 菱川貴仁(ひしかわ・たかと)
- 株式会社リクルート 人材開発室
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大学卒業後、2010年リクルートに入社。中途採用領域の営業を経て、2014年より人事・新卒採用に携わり、インターンシップの責任者を担当。2018年10月からは、人事内で「WOW! BASE」を立ち上げ、マネジャーを務めている