1991年のバブル崩壊や2008年のリーマン・ショックなどの影響で、希望する仕事に就けなかったいわゆる就職氷河期世代が、現在でもキャリア形成に苦慮する課題があるとして社会問題となっています。リクルートでは、こうした就職氷河期世代を支援するため、2021年11月より認定トランプ 用語 育て上げネットと連携して新たな取り組みを行いました。
具体的にはまず、正社員として働くことを希望する方の現状や希望の労働条件、求める支援を把握することを目的に、就職氷河期世代を対象としたアンケート調査を実施しました。その後、本調査結果において希望の多かった個別相談や就業体験・お試し就業に関する情報収集、就職活動に向けた対策などの場を提供するため、認定 トランプ 用語 育て上げネットおよび株式会社スタッフサービス・ホールディングスと連携して「就活支援セミナー」ならびに「『働き方をどう選ぶ? 』セミナー」を開催。これらの取り組みについてご紹介します。
就職氷河期世代が希望する支援内容をアンケート調査で把握
アンケート調査は、全国の35~54 歳のいわゆる就職氷河期世代を対象に実施。特に正規雇用を希望しながら非正規雇用として働く方および無業の状態にある方の実態や希望する支援を把握するため、 ICT 研修を伴う就労支援事業への応募経験のある方のうち、同法人に登録した方を対象としています。
アンケート調査結果としては、まず回答者が仕事探しを始めた理由は「長く働ける安定した仕事に就きたいから」(58.3%)が最も多く、希望する就業形態は「正社員(フルタイム)」(83.4%)が最も多い結果となりました。
仕事探しで困難に感じたことは、「自分の年齢が不利に感じた」(83.0%)が最も多く、次いで「希望する仕事の経験がない」(51.9%)、「自分の希望に合う求人が見つからない」(49.8%)。次に多いのが「自分に合った仕事が分からない」(31.9%)、「面接でうまく話せない・何を話していいか分からない」(28.1%)で、おおよそ3人に1人が自己分析や自己PRに課題を感じていることが分かります。
仕事探しにおける重視点は、「仕事内容(職種)」(88.1%)が最も多く、男性の非就業者では90%を超える結果に。仕事探しの中で困難に感じたこととして「希望する仕事の経験がない」が多く挙がっていたことと照らし合わせると、希望する仕事の内容と自分の経験のミスマッチが起こっている可能性が考えられます。また、全体と比べると、女性は「通勤時間(通いやすさ)」(83.2%)、「勤務日数(休日、休暇)」(74.5%)、「勤務時間帯」(65.0%)、「勤務時間数」(51.1%)が多く、働く時間や日数を重視していることが見て取れます。
希望する具体的な支援は、ICT関連の研修を除くと、「キャリアカウンセリング(個別相談)」(52.8%)、「就業体験・お試し就業の機会提供」(50.2%)が多く、次いで「利用できる民間人材サービスに関する情報提供」(40.4%)、「履歴書・職務経歴書対策」(37.4%)、「面接対策」(36.6%)が上位に挙げられました。全体と比較すると男性の非就業者では複数の支援を希望する傾向があり、女性の非正規社員ではPCスキル研修、非就業者では就業体験や情報提供のニーズが目立ち、それぞれの希望に合わせた就労支援の実施が求められていることが分かりました。
- 詳しい調査結果はこちら
- リクルート ジョブズリサーチセンター「就職氷河期世代の仕事探しのトランプ 用語」
就職氷河期世代を支援する2つの就活セミナーを2022年3月に開催
アンケート結果を受けて、希望の多かった個別相談や就業体験・お試し就業に関する情報収集、就職活動に向けた対策などの場を提供するためのセミナーを開催することになりました。セミナーの実施に当たっては、認定 NPO 法人育て上げネットに加えて、リクルートグループで人材総合サービスを展開する株式会社スタッフサービス・ホールディングスとも連携。セミナープログラムの開発に当たっては、改めてアンケート調査結果の深掘りを行い、就活する就職氷河期世代の方々が抱えている具体的な課題や就活する上で整理する必要がありそうなことについて洗い出しを行い、コンテンツを構成しました。
まず2022年3月15日(火)に第1回のセミナーとして、「就活支援セミナー」をオンラインで開催し、株式会社リクルートの田口 亮が講師を務めました。就活で欠かせない大切な3つのこと「就職マーケット」「自分」「接点」について学べるセミナーになっており、59名(※)が参加しました。当日は、仕事に関する市場の状況を客観的な数字で確認した上で、「どのように労働市場と向き合い、取り組むと良いのか」を知ることからスタート。その後、「これまでの経験からどのような強みが身に付いているのか」「自分の興味関心は、志望している職種と一致しているか?」などを自己分析してもらいました。そして最後に、志望先と自身の接点を見つけるため、「自分の強み」と「企業が求める人物像」でどこが重なる部分なのか考え、就職活動で自信を持ってアピールできるポイントとして整理。講師からは「資格や職務経験だけでなく、ぜひここで見つけたアピールポイントを自己PRとして活用してほしい」と伝えて、セミナーが終了しました。
続いて第2回は、2022年3月16日(水)にオンラインで開催された「『働き方をどう選ぶ? 』セミナー」で、参加者は70名(※)に上りました。コンテンツは、認定トランプ 用語 育て上げネットの坂本 克己氏による「働き方の選び方のポイント」、株式会社スタッフサービスの名合 光央氏による「派遣・紹介予定派遣の働き方の特徴や利用方法」の2つで、1回目に比べるとより具体的な働き方の選び方を紹介する内容となりました。
※参加者数はトランプ 用語 育て上げネットにて集計
(セミナー講師)
講師の名合氏からは、仕事の探し方を広げ、派遣就労を活用することのメリットを紹介しました。派遣は期間に定めのある働き方であることから、雇用不安などの見方がある一方、派遣会社が提供する学ぶ機会やキャリアカウンセリングなどのサポート体制が整っており、スキルアップにつながるという特徴については、それほど認知が進んでいないのが現状です。自身が持つスキルで直接雇用を目指すしかないと考えている方が多いものの、それが結果的に選択肢を狭める結果になることも多く、派遣就業を通して新たなスキルを身につけたり、業界経験を重ねることで、キャリアアップや直接雇用につながる道を紹介しました。現在は、テレワークや副業・兼業が広がるなど働き方が多様化し、一人ひとりが実現したい働き方やキャリアの積み方を選びやすくなり、派遣もその一つとして認知されつつあります。そして、セミナーの最後に講師より「働く機会のチャンスを少しでも広げられたらという願いで本プロジェクトに参加させていただいた。雇用形態はひとつ!と決めつけずに、一人ひとりに合った働き方を探すためのヒントになれば」とメッセージが伝えられました。
すべての人が前向きに納得感のある自己決定ができるように支援を続けたい
今回、「就活支援セミナー」のプログラム開発に当たったのは、リクルートが社会貢献活動としてNPO団体や大学に無償で提供している就職支援プログラム「WORK FIT」の担当者。これまでは若者・大学生の就職活動を支援してきましたが、今回は就職氷河期世代向けということで「WORK FIT」として初めての取り組みとなりました。その背景や思いについて担当者に話を聞きました。
「就職氷河期世代が就職活動をしていた時期は、バブル崩壊やリーマン・ショック等の影響を受けて労働市場全体が低迷し、ここを境に働き方も多様化をした転換期とも言える時期になります。そうした環境の影響を受け、さらに現在では新型コロナウイルスなどの影響も受けて、自分の希望に合った仕事に就けていない方も多く、そうした方々が次のステップに進むための支援をしたいという思いで今回セミナーを開催しました。
セミナーでは、まず外の現実と自分自身を見つめた上で、中長期的な視野を持って自分が今後どうしていきたいのかを知り、最終的に参加者が前向きな自己決定ができるような情報提供を心掛けました。
参加者の方々の不安定な就労状態を少しでも早く解消していきたいと考えていますが、ただ単に仕事に就くことだけがゴールではなく、その人がより納得度を持って就職決定ができるよう、今後も支援を続けていきたいと思っています。認定トランプ 用語 育て上げネットなどのように、就労支援に取り組んでいる団体もありますので、もし悩んでいる方がいれば、ぜひ活用していただきたいですね」