昨今、子どもたちの「将来に夢や希望を持てない」「理想像となる大人を身近に見つけにくい」という声をよく聞きます。 変化の激しい社会だからこそ、自ら考えて将来を切り開いていく「生きるチカラ」を育むためのキャリア教育の重要性が高まっています。
リクルートでは、「働く」ことについて考えるきっかけを得ることは、未来を担う子どもたちにとってとても貴重な体験になるという考えから、2006年より「キッザニア東京」に協賛し、「おしごと相談センター」パビリオンを出展(現在「キッザニア甲子園」「キッザニア福岡」にも同パビリオンを出展)。今回、この「おしごと相談センター」と連動したキャリア教育プログラムを、実際の小学校で開催しました。
実施した箕面市立萱野東小学校(大阪府)では、これまでにもキャリア教育として、自身の長所・短所を知ることから、職業の調査、大人への質問などを行ってきましたが、「働く」ことについての全体像や具体的なイメージまで思い描けている子どもが少ないという課題を感じていました。もっと子どもたちの視野を広げてあげたい。「働く」ことへのイメージや夢を持って欲しい。そんな想いから実現した今回のキャリア教育プログラムの様子をご紹介します。
「自分を知ろう!」
当日は約120名の6年生が体育館に集まり、大きな声で挨拶からスタート。その元気な声から、みんながワクワクしているのが伝わってきました。プログラムを進行するのは、リクルートの「HR AGENT COLLEGE」(業務以外での体験から学びを得ることを目的としたリクルート従業員向けの選択型プログラム)から参加した有志メンバー6名。「将来就きたい仕事がまだ決まっていない人の方が多いと思いますが、それを気にする必要はありません。まずは、自分はどんなことが好きなんだろうということを少しずつ知っていってください」という言葉で、プログラムが始まりました。
3部あるプログラムのうち、1部のテーマは「自分を知ろう」。児童たちには事前に「好きなのは、外で遊ぶor家でゆっくり」「夏休みの宿題は、好きなものからやるorまずは計画を立てる」など、実際にポーカー ベットの“おしごと診断”で行われている9つの質問に回答してもらい、その回答結果によって、体育館全体を大きく使ってタイプごとに8つのチームに分かれました。続いてチームごとに「チームワーカータイプ」「クリエイタータイプ」など自分たちのタイプが書かれたカードが配られ、どんな強みや特徴があるのか、どんな仕事に向いている傾向があるのかなどが説明されました。
この結果はあくまで一つの可能性。「自分のタイプ」を知り、「自分の強み」や「自分らしさ」を大切にすることで、未来を考えてもらうきっかけにしています。
ここで大きく盛り上がったのは、校長先生や先生方にもアンケートを取ってタイプ診断をしていただいたこと。それぞれのタイプに属する先生を紹介するたびに、会場は笑いや拍手が起きていました。
「仕事への考え方を知ろう!」
続いて、プログラム2部のテーマは「仕事への考え方を知ろう!」。萱野東学校の先生2名とリクルート社員2名の計4名が壇上に並び、パネルディスカッションを行いました。
トークテーマは「『誰のため』の仕事か」「喜ばれたり、感謝されたとき、どう思う?」「どうやって喜んでもらうか?(大変なこと・頑張ること)」「これまでの勉強や活動で役に立ったこと」の4つ。
先生方からは「子どもたちのために働いているけれど、未来を作るのは子どもたちだからこそ、社会や自分のためにもなる仕事だと思う」「自分が大事に思っていることや子どもたちに伝えたいことを、どううまく伝えるかが難しさでもあり、やりがいでもある」「小学校の時に転校してきた子に本を読んであげたら喜んでもらえて、それが今の仕事につながっている」といったお話も。普段はなかなか聞けない先生の話に児童たちも興味津々で耳を傾けていました。
リクルートのメンバーは、「目の前の仕事だけでなく、出会った人や先生から言われた言葉が将来につながることもある」「誰かにほめられたり、自分が得意だと感じたことは一生残るので、得意だと思ったら伸ばしていって欲しい」など、これまでの自分自身の経験を活かしたアドバイスを伝えました。
その後は、児童たちからの質問タイム。「仕事でしんどい時はありますか? それをどう乗り越えましたか?」「ストレスはどうやって発散していますか?」などの質問が積極的に飛び交いました。
「仕事を考えてみよう!」
翌日のキッザニア甲子園での職業体験に向けて、いろいろな角度や切り口で仕事を考えてみるのが3部のテーマ。第1部で配られた「タイプカード」に書かれている「向いていそうな仕事」が、どんな仕事なのかを考えるワークを行いました。
第1部と同じチームに分かれて、まずは個人ワークで付箋に自分の考えを記入していきます。考えるのは4つ。その仕事は「『誰のため』の仕事か」「その相手に『どうやって喜んで』もらうか」「喜ばれたり、感謝されたとき、どう思うか」「学校での勉強や活動がどうつながるか」。付箋は何枚使ってもOKで、みんな思いつくままにどんどん書き込んでいきます。
その後はグループワークへ。チームごとに用意した大きな紙に、個々で考えた付箋を貼りながら、自分の意見をシェアしていきます。あふれるほど紙いっぱいに付箋が貼られたチームもありました。最後に共有された内容を、いくつかのチームに発表してもらい、翌日のキッザニアでの職業体験へのイメージを膨らませて第3部は終了となりました。
翌日はキッザニア甲子園にて実際に職業体験!
最後にまとめとして、「今日考えたことはあくまで、自分の将来を考える上で参考やきっかけにして欲しい。3年後、5年後、10年後、人生の「選択」をする際に、もう一度自分自身の『好き』や『強み』『らしさ』に立ち返り、活かせる仕事を考えてみてください」というメッセージでキャリア教育プログラムは終了となりました。
翌日はキッザニア甲子園で実際に職業体験を実施。前日のワークを活かすことで、仕事のイメージを持ちながら体験することができたようです。その後、自分の将来について書いた卒業文集からも、今回のキャリア教育プログラムから発見や学びがあったことが伺えました。
リクルートではこれからも、子どもたちに「働く」ことについて考えるきっかけを提供し、自分だけでは出会えなかった仕事との出会いを届け、その体験が子どもたちの将来と未来の社会を豊かなものにしていくことを信じて、さまざまな取り組みを続けてまいります。