ポーカー ハンド 勝率も事業も、「強みを活かす」を大切に。平均年齢26歳の成長企業、FinTから学ぶZ世代の価値観
SNSマーケティングなど、Z世代を中心とするメンバーの強みを活かした事業で成長を続ける株式会社FinT。グルーバル展開もはじまった同社の道のりを通して、現代若者ならではの価値観を探る
自らの意思でキャリアを切り拓き、社会で活躍する現代の若者は、どのような出来事に影響を受け、どのような価値観を持っているのだろうか。今回は、株式会社FinT代表で1995年生まれの大槻祐依さんと、同社で働く2001年生まれの山口あさ美さんにインタビューを行った。
2017年設立のFinTは、大槻さんが学生時代に立ち上げた会社。現在は、SNSを起点としたマーケティングや、ライフスタイルメディア「Sucle(シュクレ)」などを中心に事業を展開している。いわゆるZ世代のメンバーが多数を占める同社は、ソーシャルネイティブである彼らの強みを活かした事業で、日本の名だたる企業を含む300社以上を支援。2023年からはベトナムに海外法人を立ち上げ、本格的なグローバル展開をスタートさせた。
FinTがこのように力強く成長を続けられるのはなぜなのだろう。同社の歩みやポーカー ハンド 勝率に流れる価値観から、現代を生きる若者の強みを探った。
「好き」よりも「得意」を起点にして、今の事業にたどり着いた
― まずは大槻さんに創業のきっかけをお聞きしたいです。いつ頃から起業を志していたのですか。
大槻:実は、高校までは起業なんて考えてもいませんでした。どちらかといえば「大学をきっちり4年で卒業し、大手企業に就職して…」と、多くの人が目指すルートから外れないようにしようと思っていたくらいです。起業を志すようになったきっかけは、大学の授業。世の中は、起業家が生み出す全く新しい商品・サービスによって進化してきたことを知り、私も社会を変えられるような人になりたいと興味を持ち始めたんです。
そこからシンガポールへ留学したり、スタートアップでインターンをしたりといった経験の中で、周りに流されず自分のやりたいことをやっている人たちと出会いました。彼らの存在に背中を押され、私も自分の好きなことに思い切り挑戦してみようと行動を起こしたのがはじまりです。
― これまでの事業の変遷を教えてください。
大槻:FinTはもともと金融事業からはじまっています。この事業のヒントになったのは、シンガポールで知り合った同世代の友人たちの金融リテラシーがものすごく高かったこと。投資や税の知識をみんなが当たり前に持っていて、日常の話題に挙がることに日本とのギャップを感じました。だからこそ、日本の若者の金融リテラシーを上げていくような事業がやりたくて、学生向けの金融メディアや勉強会の企画運営をはじめたんです。
でも、これがなかなか上手くいきませんでした。決してニーズがないわけではなかったのですが、私は金融の専門家でもないし、今考えると専門家の知見やスキルを上回るだけの情熱を持って金融というテーマに向き合えてはいなかった。だから軌道に乗せることが出来なかったのだと思います。
― 最初の事業が高い熱量で取り組めるテーマでなかったから、次は思い切り自分の好きなことにシフトした、ということでしょうか。
大槻:正確には、「好きなこと」というより「強みを活かすこと」にフォーカスした感覚ですね。当時は、起業家の中では学生かつ女性という私の属性がまだまだ珍しかった。だから、少なくとも「10代20代女性のライフスタイル」がテーマの事業なら、他の起業家よりも得意な自信がありました。そこで立ち上げたのが若年層女性向けのメディア「Sucle」。そこから派生して、SNSマーケティングなどの事業が誕生しています。
個人の強みを掛け合わせることで、ポーカー ハンド 勝率の価値を最大化する
― 得意にフォーカスする考え方は、FinTが掲げるパーパス「みんなの強みを活かして、日本を世界を前向きに」にも通じていますよね。ポーカー ハンド 勝率運営においても一人ひとりの強みにこだわっているのでしょうか。
大槻:そうですね。人は本来誰もが個性的で、強みも弱みも併せ持っていると私は思います。だからこそ、誰かの弱みは誰かの強みで補完しあえるようなポーカー ハンド 勝率でありたい。苦手な部分を他の誰かにフォローしてもらえれば、個人は得意なことに思う存分打ち込めるし、能力を最大発揮できると信じています。
山口:実際の業務でも一人ひとりが得意を磨いている感覚がありますね。例えば、私が所属しているSucleのメンバーの強みは、社内随一の“トレンドキャッチ力”。InstagramやTikTokの最新動向をキャッチしているのはもちろん、中国版Instagramと言われている「RED」など、海外のSNSまでリサーチしています。
その知見を自分の業務であるSucleのコンテンツ制作や運営に活かしつつ、さらに別の事業に還元していく動きが活発なところが、FinTらしさだと思います。
大槻:部署の垣根を越えた“強みのコラボレーション”が活性化するように、この8月に移転した新オフィスでも、全員がワンフロアでいられることにこだわりました。他のポーカー ハンド 勝率の仕事が見え、自然と会話が生まれ、関係性の質が高まること。それによって強みの活かしあいがあちこちで生まれている状態が理想ですね。
― 若手中心のポーカー ハンド 勝率だからこその強みがあるとすれば、どんな点が挙げられますか。
山口:若手が多い分一人ひとりの成長の伸びしろが大きく、自分たちが成長した分だけ会社の成長につながるところですね。また、若手中心だからこそキャリアに関係なくチャレンジの機会がある。
かくいう私も、学生時代からインターンでFinTに参加し、HR(採用)部門の立ち上げに挑戦する機会をもらっています。早くから責任ある立場で揉まれることで個人の成長が加速している人たちが多く、一人ひとりの成長の積み上げでポーカー ハンド 勝率も日々進化している実感があります。
あとは、変化対応力が高いことでしょうか。FinTのメンバーの多くはビジネスパーソンとしてスタートしたばかり。一人ひとりが発展途上だからこそ、良い意味で既存のやり方にこだわりません。自分たちの手で試行錯誤しながら、柔軟に変わっていくことをポジティブに捉えている人が多い印象ですね。
Z世代には、背景や文脈のないコミュニケーションは好まれない
― FinTのみなさんはZ世代が中心であると同時に、事業としてもこの世代に向き合っていますよね。みなさんは、Z世代の特徴をどう捉えていますか。
大槻:たしかにユーザーと同世代で価値観を共有しているメンバーが多いとはいえ、私たちも最初から「Z世代とはこうだ」と正解が見えていたわけではないんです。事業活動を通して得られたユーザーデータを紐解き、仮説検証を繰り返しながら段々と分かってきた感覚。そのなかで特にZ世代らしいと感じられるのは、「背景や文脈を重視する」ところです。
― それは、裏を返せば「文脈を無視したコミュニケーションはZ世代に嫌われる」ということでしょうか。
大槻:その側面もあるかもしれません。例えばある調味料のPRをインフルエンサーさんにお願いしたいとき。単にこの世代に人気だからというだけで起用しても、「普段は全然料理しない人なのに、唐突すぎて宣伝感が強い」と評判を下げてしまう可能性があります。
でも、だからと言って必ずしも料理好きのインフルエンサーさんを起用するのが正解でもないんですよ。あえて料理が苦手そうなイメージの人を起用し、簡単レシピに挑戦するような企画動画がバズることもある。単に商品の良し悪しではなく、ストーリーも含めて共感できるかを重視しているのが、Z世代らしい行動心理です。
― なぜそうした特徴が生まれているのでしょうか。
大槻:大きな影響として考えられるのが、情報の多様化。現代の若者は、マスメディアだけでなくSNSも活用しながら多様な情報に触れています。個人が気軽に情報発信できるからこそ、タレントさんやインフルエンサーさんが私生活まで発信していることも珍しくなくなった。その結果、ファンのみなさんは「“推し”が私生活で愛用しているシャンプーの銘柄」といったことまで知るのが容易になりました。
そうした背景まで見えている時代だからこそ、推しのインフルエンサーさんが「ずっと愛用していたシャンプーからタイアップの依頼が来た!」と発信すればファンも歓喜して応援してくれるし、逆にリアルな背景を無視したコミュニケーションを取ればすぐに見抜かれてしまうのだと思います。
― コミュニケーションという観点で、ほかに特徴はありますか。
山口:Z世代は、進学や就職など自分の世界を広げる時期にコロナ禍を経験した世代でもあります。私自身も大学時代のほとんどがコロナ禍の制限を受けました。本来ならたくさんの人と出会い関係性を深めていくタイミングで、オンライン授業やリモートワークだったからこそ、遠隔で相手を理解する必要があった。そのため、より分かりやすく端的に「その人らしさを掴みたい」というニーズも強いと感じます。
例えば、“私の推し”を伝えることも、私たちが自分を表現する手段のひとつです。あとは性格診断のひとつである「MBTI」の結果を共有しあうことも増えているように見えます。もちろん、それだけで人の本質は分からないけれど、個性の輪郭を掴む取っ掛かりにするんです。効率的に相互理解をしていくのが私たちの世代らしいコミュニケーションだと思っています。
身の丈以上の機会で人が成長していくのは、万国共通
― 2023年にベトナムへ進出したことについても教えてください。どうして、グローバル展開に挑戦しているのですか。
大槻:一番は、グローバルにおける日本のプレゼンスが下がっていると実感したことです。これまでの日本は、私たちよりも上の世代が製造業で世界をリードしてきましたよね。そこで培われてきた基盤があるはずなのに、近年伸び悩んでいるのはデジタルマーケティングで苦戦していることも要因のひとつだと感じられるからです。それならば、SNSをはじめとしたデジタルマーケティングを得意とする私たちにも、日系企業が世界で勝つための支援ができるのではないかと考えました。
また、こうした活動を通して、日本の若者をもっと元気にしたい。今、日本の若者は社会に対して閉塞感がある人が多く、未来に期待している人がとても少ないと言われています。同じ社会で育ってきたひとりとして、そんな気持ちになってしまうのも分からなくはないのですが、だからといって我々の世代が「上の世代が築いてきた豊かさをただ消費していくだけ」なのも私は嫌だなと思っていて。若者の力で日本が良くなっていくような姿を社会に示したいんです。
― 海外という新しいフィールドでは、どんなところに日本との違いや共通点を感じますか。
大槻:チャレンジをはじめたこの一年での最大の収穫は、違いよりもむしろ共通点を感じられたことでした。それは、国境を越えた若者の共通点。成長意欲が高く、好奇心旺盛で、変化に前向きな若者は、どこの国にも必ずいるもの。だからこそ、「チャレンジしたいと思っている人にその機会を提供することで、本人も会社も成長していく」というFinTらしさに共感して仲間になってくれる若者たちに出会うことができました。日本で磨いてきたポーカー ハンド 勝率づくりの方針やカルチャーが、世界でも通用しそうな手応えを感じています。
― そうした海外展開も含めて、FinTは事業を通じてどんな社会を実現したいのでしょうか。
大槻:やっぱり、若者が未来に期待して、一人ひとりが自分らしくチャレンジしていく社会ですね。今、「日本の若者は未来に期待している人が少ない」と言われているのは、いわゆる“失われた30年”しか経験しておらず、右肩上がりの社会を知らないことが大きな要因。加えて、チャレンジの場が少ないことも要因のひとつだと思うんです。だからこそ、FinTは若い世代の可能性に期待してたくさんの機会を提供できる会社でありたいです。
― 人の可能性に期待して機会を提供していくという考え方は、リクルートが大切にする価値観のひとつ、「個の尊重」にも通じていて、私たちも大変共感します。社会全体がそうあるために、おふたり自身はどんな自分でありたいですか。
山口:私個人としても、「自分の意思で人生を選択できる若者を増やす」ことが目標なんです。その意味では、今担当しているSucleを更に盛り上げていくことも手段のひとつ。というのもSucleのメディアコンセプト「きょうのわたし、愛しいわたし。」は、現代の若者を勇気づけてくれるフレーズだと思うからです。
若い世代が自分のことを好きになり、ちょっと自信をつけて自分らしい一歩を踏み出す。そんな人がひとりでも増えるように、メディアを通して応援をしていきたいですね。私自身も新しく事業を立ち上げたり、大槻のように起業したりといった、チャレンジに前向きな人材でありたいです。
大槻:私がこれまで事業や経営にチャレンジできたのは、期待や応援をしてくれる人・環境のおかげでもあると思っているんです。だからこそ、これからは「学生起業」や「グローバル」「若手の可能性を伸ばす」といったテーマを体現した人として、次の世代のロールモデルになって社会に還元していける人でありたい。
とはいえ、経営者としてはまだまだ駆け出しです。これからもたくさんの挑戦を続けながら、成功・失敗どちらの経験からも学びを得て、人生の終盤では最高に輝いているおばあちゃんになる。それが私の目標です。
プロフィール/敬称略
※プロフィールは取材当時のものです
- 大槻 祐依(おおつき・ゆい)
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1995年生まれ。早稲田大学在学中の2017年に株式会社FinTを創業。「みんなの強みを活かして、日本を世界を前向きに」というパーパスのもと、総合フォロワー数100万人の若年層女性向けSNSメディア「Sucle(シュクレ)」の運用やSNSマーケティング事業を展開。「News Picks」プロピッカーをはじめ、「テレビ朝日の羽鳥慎一モーニングショー」 にSNS専門家としてコメンテーター出演。他にも「日経ビジネス」や「日経クロストレンド」、「ダイヤモンド・シグナル」など多数のメディアで寄稿。世界を変える30歳未満30人を表彰する「Forbes 30 UNDER 30 ASIA 2024」「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2024」に選出
- 山口 あさ美(やまぐち・あさみ)
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2001年生まれ。2019年よりFinTにジョインし、SNSマーケティングのディレクターに従事した後、1人目の人事としてHRの立ち上げを経験。HRでは、中途採用・新卒採用の立ち上げから、オンボーディング・ポーカー ハンド 勝率開発などに携わり、50人までポーカー ハンド 勝率を拡大。2021年より新規事業に異動し、現在はメディア事業のSucleを担当している