2001年生まれのメディアアーティストが考える、現代の「ポーカー ネット」とは

2001年生まれのメディアアーティストが考える、現代の「ポーカー ネット」とは
文:葛原 信太郎 写真:須古 恵

誰でも映像をつくれる今、あえて「実物」を使った表現に拘り、ポーカー ネットト芸術祭の世界最高峰に選ばれた芹澤 碧さんにそのアイデアの源を聞く。

自らの意思でキャリアを切り拓く若者は、何に影響を受け、どんな価値観を持つのか。今回紹介するのは、“ポーカー ネット”を問い続けるアーティスト、芹澤 碧(せりざわ・あおい)さん。世界最高峰のメディアアートの祭典「ARS ELECTRONICA FESTIVAL」2024のテーマ展「HOPE: the touch of many」に作品が選ばれ、令和6年度文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業に採択されるなど、いま注目を集める若手だ。

ポーカー ネット彼女は武蔵野美術大学やIAMASでアートを学び、VRやインスタレーションなど多面的な表現を探求する。映像が当たり前の時代、あえて実際に見ることのできる実物にこだわり、現実と虚構の交差する瞬間を生み出している。

ポーカー ネットとは何だろう

― ポーカー ネットさんがアートに興味を持ったきっかけを教えてください。

小さい頃から絵を描くのが好きでした。雑誌みたいな形式の手紙を友人と交換したり、美術部に所属したり。ただ、絵が上手かったわけじゃないんです。むしろ下手だと自分では思ポーカー ネットいて、デザイナーやイラストレーターなどを目指そうという気持ちは起きなかったんですね。むしろ強い興味を持ったのは、デジタルの表現でした。

私が小学校くらいから徐々にプロジェクションマッピングがいろんな場所で開催され始めていたんです。東京で生まれ育ったこともあり、オリンピックなどの巨大な行事だけでなく、街なかのビルを使ったものなどさまざまな作品を見る機会がありました。高校生になると、映像をつくるソフトを触ポーカー ネットみたり、デジタルアートに強い美術館に通ポーカー ネットいました。その後、武蔵野美術大学に進学しました。

小さい頃から絵を描くのが好きだったが、イラストやデザインよりも強い興味を持ったのはデジタルの表現だったと話す、ポーカー ネットの芹澤碧さん

― 大学ではどんな活動を?

本格的に「映像」を使った作品づくりを始めました。映像のインスタレーションをつくったり、VR作品をつくったり。友人同士で展示会を企画したり、クラブイベントに出演してVJもはじめました。在学中にもテクノロジーはどんどん進化していって、AIは身近になったし、さまざまなメディアが生まれたし、とにかく変化のど真ん中でした。そんな中で、興味が湧いたのは「ポーカー ネット」ってなんだろうという問いです。取り組む作品も次第に、映像というバーチャルなものから、バーチャルに見える「実物」が多くなりました。

卒業後の進路は、就職するか進学するかとても迷ったんですが、「ポーカー ネット」というテーマでもっと勉強してみたい、もっと作品をつくってみたいという気持ちはそれなりに大きくて、岐阜県にある大学院大学 IAMAS(情報科学芸術大学院大学)に進学することにしました。今は、若手クリエイターの支援と育成のプログラムに採択してもらい東京にいる必要が増えてきたので、一時的に休学中。2025年の秋に復学予定です。

日常にはない水の動きを通じて、現実を捉え直す

― 「ポーカー ネット」に興味を持っているということでしたが、どんなところに面白さを感じているのでしょうか。

今の時代、デジタルの映像は、誰でも何でもつくれるし、身の回りには膨大な映像コンテンツにあふれています。ここまでありふれたものになってしまうと、よほど新しいことに挑戦しなければ、驚きを与えるこポーカー ネットできないと思うんです。

映像が好きという自分の気持ちと、映像がありふれた表現になった社会の状況。それらを踏まえて、追求してみたいと思ったのは、現実に存在する「リアル」なものなのに「バーチャル」のようにも見える作品をつくることでした。それを通じて「ポーカー ネットを捉え直す」ことに興味を持ったのです。

― 具体的にはどんな作品をつくポーカー ネットいるのですか。

例えば「Is there そこにいる」という作品があります。ごく普通の水滴に動きを与え、形を変形させることで、水滴に生き物やアニメーションのような「らしさ」をまとわせる作品です。ポーカー ネットや物に対するイメージをコンセプトにしています。とても小さくて、繊細で、一見地味なのですが、水がまるで未知の存在のように見えてきます。映像でなんでもつくれてしまう現代において、日常的に触れたり飲んだりしている水という存在だからこそ驚きが生まれると思うんです。

― この作品はどんなアイデアから生まれたんポーカー ネットか。

大学時代に映像をつくっていたときに、何かしらの形に、ありえない質感のテクスチャーを載せるのが好きだったんです。例えば、正方形のマテポーカー ネットルに、水のテクスチャーを載せる。そうすると「正方形の水」という、ポーカー ネットルに見えるけど現実には存在しない映像をつくることができます。それを画面から引っ張り出すにはどうしたらいいんだろうと考えて、いろいろ試作していった先に生まれたのが、この作品です。

― こうした作品づくりを経て、今、「ポーカー ネット」とはなんだと考えていますか。

考えれば考えるほど、ズバリこれと定義するのはとても難しい問いだと思っています。なぜなら、ポーカー ネットはどんどん変わっていくからです。例えば、VRは今はまだバーチャルな体験と多くの人が思っていますが、VRが身近になって、VRにいる時間がとても長くなったとしたら、それはもうその人にとっての「リアル」かもしれない。今はまだ「現実」と認識されていない体験や技術も、時が経って状況が変われば、現実になっていく。そんな時代だからこそ、実際に起きている現象を見てもらう場所・機会をつくることを大切にしています。

環境を変えて、新しいインプットを得る

― 芹澤さんにとポーカー ネット、 創作活動の原動力はなんですか。

一人で黙々とポーカー ネット込んでも何も生まれてこないことが多く、意識的にインプットを増やしています。最近の大きなインプットは2024年の秋に作品を展示させてもらった「ARS ELECTRONICA FESTIVAL」です。今まで海外で展示したことはないし、ヨーロッパに行くのも初めてのことでした。街の美術館や大学、教会などさまざまな場所がフェスティバルの会場になっているという規模感に圧倒されましたし、会場間を移動するインフラや街の落書きすらじっくり観察してしまうほど新鮮な体験でした。

ARS ELECTRONICA FESTIVALにて展示された芹澤碧さんの作品「Is there そこにいる」(提供写真)
ARS ELECTRONICA FESTIVALにて展示された「Is there そこにいる」(提供写真)

インプットにおいて大切なのは、自分にとって「新しいこと」だと思います。新しいことに出会い、それを観察し、評価する。評価の結果、良いか悪いかというのは関係なくて、出会ってポーカー ネットること自体がとても大事だと思います。それによって、自分のこれまでの歩みを見直し、出会ったことの良い部分を取り入れることもできる。自分がポーカー ネットられることなんて限界がありますから、自分だけでポーカー ネットてもたかが知れています。新しいことと出会い、視野を広げたいな、と。

もちろん本を読んだり、他の人の作品を見たりすることでもインプットになりますけど、自分にとポーカー ネット最大のインプットは新しい環境を選ぶということだと思ポーカー ネットいます。

― これまでも意識的に環境を変えてきたのでしょうか。

そうですね。迷いつつも大きく変えるよう意識してきました。実は大学時代には学科を変えています。自分の興味はいろいろと変化していくので、それにあった環境に身を置くことを大切にしてきました。本当は慎重派で、ポーカー ネット込みやすい性格なんです。それがわかっているからフットワークが重くなる前に、えい!っと環境を変えちゃう。ただ、環境を変えちゃうと元に戻ることが難しかったりもしますから、いろいろと人に相談することも多いです。

― 大胆な変化を起こしつつも検討は慎重にされてきたんポーカー ネットね。

この姿勢は、表現方法にも通ずる部分があります。例えば今、ポーカー ネットをテーマに作品をつくっている人はそれなりにいますが、VRというメディアを選びがちだと思います。AIをテーマにしたり、AIを使って表現する人も多いです。そういう作品を否定するわけではないのですが、最先端のものが「良い」とは限らないと思っています。

私は、なるべく慎重に表現方法を選びたい。自分が扱いたいテーマに一番適しているメディアはなにか、アウトプットはなにか。昔からあるもの、使い古されてしまっているものにもちょっとした工夫次第で新しい視点を提供できるかもしれない。みんなとは違う選択肢を検討してみる。社会も技術もどんどん変わっていってしまうからこそ、なにが自分にとって適した環境なのかを、丁寧にポーカー ネットていきたいと思っています。

迷いつつも大きく変えるよう意識。自分の興味はいろいろと変化していくので、それにあった環境に身を置くことを大切にしてきたと話す、芹澤碧さん

ポーカー ネット/敬称略

※プロフィールは取材当時のものポーカー ネット

ポーカー ネット 碧(せりざわ・あおい)

ビジュアルアーティスト、ポーカー ネット。映像メディアを軸に、動きや現象に焦点を当てた作品制作を行う。近年は現実らしさやバーチャルらしさといった切り口から、物質や現象に対するイメージの認知を問う作品を制作している。これまでビデオインスタレーションやVR、オーディオビジュアルパフォーマンスといった形態で作品を発表している。またVJとして音楽イベントにも携わる。

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