働く世代にとって、思いがけない疾病に見舞われたときに仕事の継続についてどう感じるのか、何に困りどのような周囲の働きかけが支えとなるのか、といった実態を知っておくことは、自分がその困難に直面したときのいくらかの備えとなり、また、疾病を抱えて働く職場の仲間に対して何ができるかを考えるきっかけとなるだろう。そこで今回は、疾病を抱え継続的に治療を行いながら働いている会社員376名を対象に、治療と仕事の両立に関するネット ポーカーを行った。
- ネット ポーカー概要
- ネット ポーカーで重視することも課題も発病からの期間で異なる
- 会社の施策で役立ち度が高いのは柔軟な働き方支援の制度
- 約2割が職場の誰にも相談できていない
- 本来の主体性や自律性の発揮を促進する支援のあり方とは
ネット ポーカー概要
継続的な治療を伴う困難な疾病といっても、疾病の種類、病状や治療の状況は、多岐にわたる。今回のネット ポーカーでは、「反復・継続して治療が必要で、短期(数カ月程度)で治癒しない疾病」として、がん、脳卒中、心疾患、糖尿病、肝炎、その他難病、不妊などの身体疾患、うつ病、双極性障害、統合失調症、認知症などの精神疾患を抱えながら仕事を継続している20~50代の会社勤務社員を対象とした。また、治療と仕事を両立する上で、本人の重視することや課題感を知るだけでなく、会社や職場はどのような支援や関わりができるかを検討したいと考えたため、「上述の疾病に適切な治療を受けながら、仕事を継続するにあたって、お勤めの会社や職場からの何らかのサポートが必要・どちらかといえば必要」と答えた人に対象を限定した(図表1)。年代は、20~30代、40代、50代の3群がなるべく均等になるように回収した。疾病の種類は、身体疾患が57.4%、精神疾患が39.4%で、身体疾患は糖尿病、がんがそれぞれ15%以上であった。